「この本おもしろかったよ!」
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ぼくの人生案内

ぼくの人生案内

田村隆一/著
小学館 
この本は、悩める若者たちの質問に、人生の先輩である詩人の田村隆一さんがアドバイスをするという形式をとっている。取り上げている質問は、「そんなこと訊いてどうする」と突っ込みを入れたくなるような、些細なこと、笑えることがほとんどなのだが、普通に生きている20代の人間にとっては、けっこう身につまされるものがある。
さて、そうした未熟者たちに対する田村さんのアドバイスは実にしゃれている。カッコイイのだ。さらりとしていて、ときには質問者の甘えをペン先でチクッと刺すような鋭さがある。ここでは大袈裟な人生論は展開されず、言葉のセンテンスのなかに、人生のエッセンスがふくまれている。詩人らしい「人生案内」なのだ。
本文中には、大口を開けて笑ったり、ダンディに決めた田村さんの写真や詩がたくさん盛り込まれ、田村さんの魅力を知るのに、とっつきやすい一冊になっている。ちなみにこの本は、田村さんの亡くなる1年ほど前に出版された。
類書(?)に、開高健の『風に訊け』(集英社文庫、1986年)があるが、そちらもおすすめ。(文:京)