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(表紙は1巻目です)

天才柳沢教授の生活

山下和美/著
講談社
(講談社漫画文庫)
毎日5時起床9時就寝、世の中のルールに従い、規則正しく暮らしているY大経済学部の柳沢教授。今どきの学生、個性的な教授、そして家族との関わり合いや日常の出来事を描くゆかいな物語「天才柳沢教授の生活」。

最初は一つの作品として、柳沢教授の世界観をただ楽しんでいたのだが、しばらくして教授が70才前後だということにふっと気が付き、私が持っていた違和感がなくなった。
ずっと60才前後だと思い読んでいたので、たびたび登場する同級生の女性や男性が深くしわの刻まれた明らかなに老人という風貌をしていること、恩師が出てくればびっくりするほどおじいさんであることを、「???」と思っていたのだ。
自分を貫き人生を歩む、我が道をゆくことは、周りから見ればわがままに生きていることになるのかもしれない。でも、それを楽しいと思って続けていくのなら、それこそがずっと若く居られる秘訣なのかも・・・。
それが柳沢教授にとっては規則正しく、ルールを守り、人と関わりながら経済を生涯学び暮らすことなのだ。柳沢教授の真面目なわがままに翻弄されながらも、彼のもとには興味深い人達が集まり、本人もその人達とふれあい、生涯成長していくのである。

一話読み切りなのだが、どの話にも考えさせられ、何か学ぶことがある。これは架空の世界の話だと笑う人もいるかもしれないが、そんな人にもぜひ読んでもらいたい。柳沢教授の世界はただごとではないのだ。(文:みなりん)