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女ひとり旅危険読本

ひとり旅活性化委員会/編・著
双葉社
異国の地を一人で旅する。それもリュック一つ背負って。なんて昔はあこがれていたけれど、実際やってみたらけっこう大変だった。学生時代アジアを一人で旅行したときのこと。医師のセクハラにはじまって、糞尿・吐瀉物がちらばるフェリー、目覚めたら四十箇所以上虫にさされていたホテルのベット、駅のホームに布を一枚ひいてすごした一夜‥‥。途中で何度か帰ろうと思ったけれど、結局つづけてしまった。のどもとすぎればあつさわすれるで、次の場所にうつるとたいしたことなかったね、なんていいながらケロっとしていた。我ながらタフだと思ったけれど、それ以来一度も一人では海外へ行っていない。
この本の著者は、いずれも一人旅の猛者といっていいだろう。中には業病のように旅をくり返している人もいる。そういう人たちならではの悲惨かつ抱腹絶倒の体験記を中心に、女性一人旅の注意すべき点が書いてある。おもしろく読めてけっこう役にたつ、これから旅にでようという人には、とくにおすすめの本である。大笑いしながらも、小さなとげが刺さったような痛みを感じるのは、わたしが彼女たちをうらやましいからなんだろうなあ。(文:京)