「この本おもしろかったよ!」

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ふわふわブイブイ気球旅行

アーサー・ガイサート/著 たかはしけいすけ/訳
セーラー出版
親しい友人が銅版画をやっているせいか、最近銅版画の作品に妙に目が行くようになった。ちなみにこの絵本もすべて銅版画。もちろん買うときには銅版画ということはまったく知らなかったのだか、偶然というものはあるものだ。どこかの生協のちらしに載っていたときから気になっていてこの秋に入手した。生協や通信販売での購入は時として、「なんで、こんな本を買ってしまったんだ〜」という失敗買いが、店頭買い(中身をパラパラチェックできる)とくらべると多くなる。けれど逆に、選んだ人の思い入れのようなものがあるので「えっ、どんな本???なになに」ともなるし、お店に並べられていない、いいものを手に入れられることも多い。
結局買ったのは、通販ではないが、その出版社の人に(知り合い)「この本はありませんか」ということで見ずに買ってしまったので結果的に通販に近い買い物ではあった。

96頁オールカラー、銅版画のこの絵本には3編のお話が入っている。題名でも分かるようにブタの気球旅行のお話だ。ブタの鳴き声をブヒブヒとかブーブーではなくブイブイとしたのも面白い。96頁、そしてその全て銅版画だというだけでもすごい(と銅版画をやっている友人も言っていた)。だけどそれだけにとどまらず、ブタの気球旅行というだけでなんだかワクワクするではないか!中身もその期待をうらぎらない。ブタの家族とその脇役達の表情、まわりのようすがとても細かく描かれていて、言葉がなくとも(本当はことばもある)いろんなことを語りかけてきてついつい絵本をみながらニヤニヤしてしまった。絵本として1800円は高いのかもしれない。だけどこの本を読んだ人はこれを高いとは言えないような気がする。いや、私が言わせない。だって、この本は私のお気に入りの本になったのだから。(文:やぎ)