「この本おもしろかったよ!」

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1ケ月に約2冊のペースで朔北社の社長である宮本と出版部員のお気に入りの本を紹介。本のジャンルは様々なので「本を買う時の参考にしてくれればいいな。」という、ひそかな野望がつまっているコーナー。

【紹介した書籍に興味をお持ちの方へ】 この本は朔北社の出版物ではありませんので、出版状況等に関しましては、お近くの書店、あるいは各出版社にお問い合わせ下さい。

想像力の地球旅行 想像力の地球旅行
荒俣宏の博物学入門

荒俣宏/著

角川書店
(角川ソフィア文庫)

 副書名にある通り荒俣宏の博物学入門というのが本書の内容を最も適切にあらわしている。
 本書は現在の植物学や動物学が200余年前にリンネやビュフォンによって築きあげられた近代的自然史(ナチュラル・ヒストリー)から大きく花ひらいた新しい知の体系であるという言明から始まっている。
 リンネ以来の自然探求のあとをヨーロッパ各地にたどり、そのあとで同時代の日本における博物学的探求の展開をたどっている。そして、最後の章は南方熊楠で、近代科学とは全く異なる事象の全体像を探求する営為の今日における意味を提起することで、本書をしめくくっている。
 人間の持続的知的探求のエネルギーとその結果として残された膨大な収集物や図譜などの記述は読書をあきさせない。博物学の面白さを改めて印象づける。このような人間の一典型を、われわれは南方熊楠に見ることができる。
 フィールドワークを尊重する博物学の方法にふれて、「あとがき」で、今井錦司や川喜田二郎が「地球観測年」という用語に反対であったこと、また探検でなく探険であるといっていたことなど、興味のつきないエピソードがつまっている。(文:宮)