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「この本おもしろかったよ!」
1ヶ月に約1冊のペースで朔北社出版部の3人がお気に入りの本を紹介。本のジャンルは様々なので「本を買う時の参考にしてくれればいいな。」という、ひそかな野望がつまっているコーナー。

。本のジャンルは様々なので「本を買う時の参考にしてくれればいいな。」という、ひそかな野望がつまっているコーナー。

【紹介した書籍に興味をお持ちの方へ】 この本は朔北社の出版物ではありませんので、出版状況等に関しましては、お近くの書店、あるいは各出版社にお問い合わせ下さい。

家族の味

平野レミ/著 和田誠/絵

ポプラ社


 20年くらい前になるだろうか、「Matthew's Best Hit TV」という音楽番組の料理コーナに出演していた平野レミさんの明るい人柄にすっかりはまり、大好きになった。最近ではNHKの生放送の料理番組が楽しみでたまらない。お料理をしているレミさんのおしゃべりは愉快痛快、明るく朗らかで幸せ満開。その姿を見ていると、こちらも楽しくなって自然と笑顔になり、元気になってしまうのだ。
『家族の味』も、そんな気持ちになる1冊。「家族と料理への愛情がぎゅっと詰まった」エッセイ集。筑摩書房刊行の『笑ってお料理』に加筆修正し、ポプラ社から再刊されたことで、新たな思いが加わり、さらに愛情溢れる本になっている。装丁も明るくてレミさんにピッタリ。
レミさんってどんな人?と思っている人はぜひこの本を。自然体のレミさんが詰まっている。お料理のこと、和田誠さんとのこと、息子さんのこと、ご自身のこと、いろんなレミさんを知ることのできるエピソードとともに、レミさんのおいしいレシピもぎっしり。ご自身もお仕事と家事子育てを両方されていたことで、忙しいお母さんに寄り添ったお話もいろいろ。「ひと手間かけたら、出来合いのものもこんなふうにおうちの味になるのよ」と、そのひと手間をかけないことがある子育て中の私としてはちょっぴり耳の痛い話も、レミさんに叱咤激励されているようで、少しがんばって家族に心のこもった料理をつくろうと思えるから不思議だ。味覚で家族がつながり、絆を強くすることを、レミさんは「ベロシップ」と呼ぶ。山あり谷あり色んなことがある人生を一緒に生きていく家族、それぞれの「家庭の味」が家族を繋ぐ。すごくおいしくできた時も、ちょっと失敗して個性的な味になった時も、食卓を囲むみんながを笑顔になれたらそれだけでいいのかも。
レミさんのモットーは「キッチンから幸せ発信!」。レミさんの大きな愛に包まれて、みんなうんと幸せになってしまう。もちろん私も。コロナ禍で「おうちご飯」の機会が多くなった今がチャンス! いろんな人に読んでほしいけれど、子育て中のみなさんにおすすめ。よーし、料理ちょっとがんばろうかなって気持ちになれるように。
巻末には、和田誠さんとの夫婦対談、仲良しの友人、清水ミチコさんと阿川佐和子さんとの鼎談。和田誠さんとの対談にすてきなご夫婦だなとあらためて思う(少しホロリとしてしまうけれど)。「和田誠さんを偲ぶ」3人の鼎談、声が聞こえてくるようなやりとりで、こんなふうに明るく一緒にいてくれる友だちっていいな。何度も読みたくなる「対談」と「鼎談」、こちらも必読です!
(文:みなりん)