オシリカミカミをさがせ! オシリカミカミ
さがせ!

 
リンデルト・クロムハウト/文 野坂悦子/訳 
アンネマリー・ファン・ハーリンゲン/絵


A5変型判 106頁 定価1260円(本体1200円)
対象 小学校低学年から 2004年6月20日発売

トイレにはいると、パクリ!ビリッ!ガブリ!!
おしりをかむばけもの、オシリカミカミがあらわれた。
【ブルームさんの場合】
ブルームさんは自分の家のトイレにすわりこんだ。
「うっぎゃあーっ!!」
いたた、いたいっ!
とんがったものがおしりにつきささった。
いや、まるでかみつかれたみたいだ。
【ヤニーさんの場合】
ヤニーさんはじぶんのからだがだいすき。
なかでも一番すきなのはおしり。
かがみのまえに立ち、うっとり。
まんぞくげにトイレにすわる。
「うわあ、ぎゃあーっ!
やられたわ!もうだめ!」
おしりに血がにじんでいる。
【病院の待合室で】
待合室で4人の人が立っている。
みんなオシリが痛くてイスにすわれない。
「トイレでね、こしをおろしたとたんガブリ!」
「うちもおなじ」「わたしも」
「オシリカミカミのせいなのよっ!」
 
まちは『オシリカミカミ』の話題で大騒ぎ。だれも安心してトイレに入れず、みんなビクビクしている。だけど誰もその姿を見た人はいない。オシリカミカミはかみつくと、すうっといなくなる。下水にもどってしまうのだ。そう、やつらはそこに潜んでいる。中にもぐれば、見つけられる。中に入れば、捕まえられる…。
 
ユスは、今日も窓辺にじっと座って、街のうわさ話を聞いていた。お昼からずっとひとりぼっち。
かあさんは働いているし、友達もいない。

−ぼくが下水の中に入ってみようか?おもしろそうだ。そりゃあ、ぞっとするけどね。−
でも、もしぼくがオシリカミカミを見つけたら?捕まえられたら?ごほうびがもらえて、かあさんは外で働かなくてもいい、いつも家にいてくれる。そうなったらいいな。ユスは立ち上がった…。
『よし、ぼくがやってみよう。オシリカミカミをさがしに行こう!』
ユスは、勇気をふりしぼって下水道にもぐりこんだ。『オシリカミカミ』とは一体何者なのか。 
そして、ユスが下水道で見たのは、下水道の中に広がる驚きの事実とは…。

 
オランダの子どもたちの人気投票で『最高におもしろい一冊』に選ばれた、オランダの人気作家が描くユーモアたっぷりの物語。

巻末には物語の裏話と、訳者のあとがきを掲載。

リンデルト・クロムハウト
1958年、ロッテルダム生まれ。教師、図書館勤務、書店員、人形劇の仕事をした後、児童文学作家になる。

作品に『なんてかいてあるの?』『おおきくなりたいちびろばくん』『ちびろばくんとなかよしのヤッキー』(以上PHP研究所)『ペピーノ』(朔北社、1991年銀の石筆賞を受賞)などがある。
アンネマリー・ファン・ハーリンゲン
1959年、オランダ・ハーレム生まれ。イラストレーションを学んだのち、児童書、学校教材、新聞、雑誌などで活躍。これまでクロムハウトと組んで多くの絵本を手がけている。

1999年にペリカンを主人公にした絵本『マルモック』(未邦訳)で金の画筆賞受賞。
野坂悦子
1959年生まれ。オランダ語、英語を中心に子どもの本の翻訳を手がけている。

訳書に『フランダースの犬』(岩波書店)、『おじいちゃんわすれないよ』(金の星社)、『愛についてのちいさなおはなし』(小峰書店)、『第八森の子どもたち』(福音館書店)、『わらって!リッキ』(フレーベル館)など多数。
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