【一般】
モダニズム変奏曲 東アジアの近現代音楽史
モダニズム変奏曲
東アジアの近現代音楽史
石田一志/著
A5判 上製 551頁 (本体4800円+税) ISBN4-86085-023-8 (2005.7)
日本、中国、韓国の西洋音楽導入以降の比較音楽史。
19世紀中頃、東アジアでは軍楽隊と教会音楽を通して西洋音楽の響きに接した。以来、東アジア各国は伝統音楽の変容を含め、それぞれ新たな音楽の歴史を刻んできた。
本書は、国別、時代別、分野別、あるいは作曲家研究などを基にした東アジア三カ国における比較音楽史である。
【内容紹介】
★ 第18回ミュージック・ペンクラブ音楽賞受賞(2005年度)
  クラシック部門 著作出版物賞
 
■本書目次
はじめに
凡例
 
序章東アジアにおける洋楽受容の前史
東アジアの地理学上の範囲
音楽文化史の概観
中国…朝鮮…日本
西洋との遭遇―キリスト教の伝来と音楽
日本…中国…朝鮮
日本における西洋近代文明受容の特徴
 
【第一部】日本編
第一章―明治時代の西洋音楽の受容
伝統的芸能界の時代への対応
能楽の没落と復興…雅楽の躍進…歌舞伎の対応…地歌・箏曲・平曲の対応…尺八その他の対応
西洋音楽の導入
賛美歌の役割…軍楽隊の活躍…音楽取調掛の設置と東京音楽学校への昇格
唱歌の展開と洋楽の普及
軍歌の流行…東京音楽学校の新しい活動と瀧廉太郎…邦楽取調掛…ヴァーグナー論と日本の歌劇―北村季晴、小松耕輔、東儀鉄笛
第二章―第一次大戦開戦から第二次大戦敗戦まで
明治唱歌からの脱皮―中山晋平、藤井清水、町田佳聲
山田耕筰の時代
山田耕筰の同時代者たち―信時潔、近衛秀麿、大沼哲
宮城道雄と「新日本音楽」の時代―宮城道雄、杵屋佐吉
近代音楽の受容
芸術音楽を求めて…作曲の専門教育の開始…作曲グループの活動…作曲家たちを包む状況
一九三〇、四〇年代作曲家群像―箕作秋吉、菅原明朗、清瀬保二、大木正夫、諸井三郎、橋本國彦、高木東六、池内友次郎、松平頼則、平尾貴四男、深井史郎、貴志康一、吉田隆子、尾高尚忠、山田和男、早坂文雄、伊福部昭
「新邦楽」と洋楽系の先駆的作曲家たち―久本玄智、山川園松、宮下秀冽、中能島欣一、下総皖一、清水脩
紀元二六〇〇年奉祝祭の音楽と戦争への道
第三章―第二次大戦後の音楽
戦後の音楽活動の再開
作曲グループの再結成
一九四〇年代グループから―安部幸明、高田三郎、小山清茂、小倉朗…「三人の会」―團伊玖磨、芥川也寸志、黛敏郎…「山羊の会」―林光、間宮芳生…「深新会」―別宮貞雄、矢代秋雄、三善晃、松村禎三
戦後の合唱運動―中田喜直、石井歓
欧米前衛音楽の導入
「実験工房」の活動…日本の十二音音楽―入野義朗、石桁眞禮生…テクノロジーと音楽
第四章―一九六〇年代の音楽
前衛の時代
同時代的発言…前衛の旗手―武満徹、湯浅譲二、一柳慧、松平頼暁
現代邦楽の誕生
邦楽界の現代化―杵屋正邦、小野衛、唯是震一…尺八音楽―諸井誠、廣瀬量平…二十絃箏と邦楽アンサンブル―三木稔
大阪万博の前後
コンピュータ音楽の登場…万博後の新しい状況と高橋悠治
第五章―一九七〇年代以降の音楽
ポスト・モダン時代の到来
日本のミニマリズムと傾聴―甲斐説宗、近藤譲、佐藤聰明…一九七〇年代の室内楽運動と打楽器―八村義夫、福士則夫、北爪道夫…一九八〇年代の管弦楽曲―山田泉、水野修孝…アジアへの新しい視座―柴田南雄、石井眞木、西村朗、細川俊夫、新実徳英、松下功、高橋裕…現代邦楽の新たな展開―国立劇場の実験―菅野由弘、吉川和夫…社会の中で―三枝成彰、三宅榛名、池辺晋一郎、吉松隆
二一世紀へ
創作オペラの展開…新世代へ
結び
 
【第二部】中国編
序―中国における近代化過程の特徴と西洋音楽
第一章―清朝末期の西洋音楽の受容
ミッション・スクールと音楽
器楽の導入
ハート楽団…軍楽隊と軍歌
新式学堂と学堂楽歌および留学生
沈心工…曾志サ…李叔同と豊子ト
第二章―中華民国時代(一九一一―一九四九)
新文化運動と趙元任
北京大学音楽研究会と国立音楽院の設立―蔡元培、蕭友梅
最初の作曲家たち
黎錦暉と児童歌舞劇…黄自―管弦楽曲《懐旧》…その他の学院派作曲家―青主、李惟寧
国楽運動―鄭覲文、劉天華、華彦鈞
日中戦争の三段階と音楽活動
「満州国」の音楽…国防歌、救亡歌曲と革命作曲家たち―任光、聶耳、洗星海…長征と延安の魯迅芸術学院…呂驥と中国民謡研究会…整風運動と『文芸講話』…秧歌運動と《白毛女》
器楽の展開
チェレプニン賞と黄自四大弟子―賀緑汀、江定仙、劉雪庵、陳田鶴…西洋楽器の民族化―馬思聰…ヒンデミット門下の譚小麟…ピアニストから作曲家へ―丁善徳…中国最初の無調音楽の試み―桑桐…日本から中国へ―江文也…アジア音楽の伝播―周文中
第三章―中華人民共和国の音楽(一)日中戦争終結から新国家建設へ
建国一七年の音楽(一九四九―一九六六)
声楽作品―瞿希賢…器楽作品、管弦楽作品…一九五〇年代のふたつの路線
上海派の展開
最初の十二音音楽―羅忠鎔…中国風ポリフォニー―陳銘志…管弦楽法―陳培勲
モスクワ留学派の台頭―瞿維、呉祖強、杜鳴心
傷跡音楽―朱踐耳
新世代―何占豪、陳鋼、汪立三、左貞観
文化大革命の時代(一九六六―一九七六)
毛沢東語録歌…「革命現代京劇様板戯」…「文革」の三段階と音楽
第四章―中華人民共和国の音楽(二)「文革」後
「失われた世代」
金香、王西麟、黄安倫、楊立青、趙暁生…映画音楽と趙季平…葛甘孺と于京軍(ジュリアン・ユー)
「新潮」グループ
時空を越えて―譚盾…「新潮」作曲家群像…◎北京―瞿小松、周龍、陳怡、葉小鋼、陳其鋼、陳暁勇、郭文景、蘇聰、陳遠林、張小夫、莫五平◎上海―韓永、盛中亮、許舒亜、徐義◎四川―何訓田、賈達群
「大脱出」と国内の作曲グループ
補章―台湾と香港の近現代音楽
台湾
清朝時代の洋楽伝来…日本統治時代の台湾…◎新文化運動と音楽◎台湾歌謡の先駆者―ケ雨賢…第二次大戦後…◎最初の専門教育機関―台湾省立師範学院◎第一世代の作曲家たち―許常惠、史惟亮、盧炎◎第二世代の国際路線―馬水龍、沈錦堂、李泰祥、戴洪軒、頼徳和、温隆信、許博允、潘皇龍、陳茂萱、候俊慶、徐頌仁、徐松榮、游昌發、曾興魁、銭南章、呉丁連、潘世姫
香港
香港現代音楽の誕生―林樂培…国際派の登場―羅永暉、曾葉發、陳永華、陳錦標
結び―「二〇世紀二〇楽章―中国音楽重要事紀」
 
【第三部】韓国編
第一章―李王朝時代末期
開国状況
ミッション・スクールと音楽
平壌の崇実学校…韓国洋楽の功労者モウリー博士、最初の弟子金仁G
「啓蒙愛国時代」軍楽隊とエッケルト
最初の音楽学校「朝鮮正楽伝習所」
第二章―日本統治時代
統監府・総督府による音楽教育
「文化政治」の時代
最初の作曲家たち
最初の表現意思―洪蘭坡…歌劇《春香傳》の作曲家―玄濟明…郷土歌劇と安基永…叙情歌曲―蔡東鮮、金聖泰、趙斗南、金東振…最初の国際的音楽家―安益泰
開放前夜―一九四〇年代前半
第三章―第二次大戦後
光復と混乱
「越北」作曲家たち―金順男、李健雨
朝鮮戦争と現代音楽の発祥
弄絃と主要音―尹伊桑…羅運榮と李相根
一九六〇年代―ナショナリズムと文化
伝統音楽の再評価…創楽会の設立―鄭回甲、金達聲、李誠載
一九七〇年代―現代音楽の季節
音響と構造―姜碩熙…白秉東と金正吉の独自路線…ナム・ジュン・パイクの衝撃…グループ活動の担い手たち―金容振、羅仁容、李英子、尹海重、朴俊相…伝統楽器による創作―李成千、黄秉冀
北朝鮮の一九七〇年代
第四章―一九八〇年代―ハングル世代の登場
李永朝とハングル世代―李建縺A崔承俊、李鍾九、朴英根、朴正善、陳圭英、李萬芳
女流作曲家たち―金順愛、徐京善、李燦解、呉淑子、洪性姫、朴英姫
一九九〇年代、韓国現代音楽の新展開と新世代―鄭台鳳、黄聖浩、金辰姫、陳銀淑、李信雨
結び
 
終章―モダニズムを主題とする七つの変奏曲
音楽文化の重層性と多様性
音楽文化の近代化の諸条件
現代音楽と伝統音楽との関係
 
あとがき
年表
参考文献
索引

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